MOREDANCE

KENZO

昨年12月24日に開催されたDANCE NATIONにて、KENZOナンバーでエントリーし、ステージ後半には自身も登壇して会場を大いに沸かせたKENZO。
ここではDANCE NATIONを振り返りながら、ダンスへの真摯な思いを語ってもらった。

PHOTOGRAPH: RYOSUKE YUASA
TEXT: YU KONISHO

夢を夢のままでは終わらせない

まずはDANCE NATIONを終えてみて、率直な感想を聞かせてください。

僕にとって最高のクリスマスプレゼントになりました!

KENZOさんのナンバーについては、どのようなことを意識して臨みましたか?

今回はダンスに対してどこにこだわりを持って作品を押し出すかというところを重視しました。僕は振付も提供するけど、生徒たちがどういう気持ちで参加してくれたのかを考え、僕の作品に参加してくれたことで、何か変わる次への一歩になってくれたらという思いがあります。ダンサーとしての生き方やダンスに対する姿勢も含めて伝えることを大事にしました。

みんながひとつになれたことが嬉しかった

今回は受講生とコラボされたとか。

そうなんです。普段はステージで生徒と一緒に踊ることってあまりないんですけど、今回は当日に急遽出ることを決めて。もともと作品は生徒たちのために作ったものなので自分が出るものじゃないと思っていたんです。だけど見ていたらみんなのダンスの熱量が伝わってきて、「一緒に踊りたいな」って思ったんです。決まったのはステージが始まる1時間前くらいじゃなかったかな。

生徒たちにとっては1年の集大成とも言える記念すべきステージで、尊敬するKENZOさんと一緒に踊れたっていうのはかなり嬉しかったでしょうね。

振付を必死に練習してくれて、僕の作品に懸けてくれてるっていうのが伝わってきたので、僕自身も嬉しかったんですよね。初対面の子とかも多かったんですけど、みんながひとつになれたことが嬉しかったですね。

オーディションではどんなことに着目して選ばれましたか?

今回はリハーサルの日数が少なかったので、振付を覚えるスピードと正確さ、それに伴った技術が根底のベースにありました。あとはどのオーディションでも言えることですが、「受かりたい」という強い思い。ここがすごく重要なのかなと思っています。

その強い思いというのは、何を見て判断しますか?

踊りです。ダンスに表れるので。上手くても下手でもいいんです。そこに自分というものをどう表現したらいいかを考えながら人に伝えることができるかどうか。人と話す時に目を見ないと伝わらないように、ダンスもどこに対して踊っているか。何を思って踊っているか。そして自分の良いところを審査員にアピールするっていうことがすごく大事なのかなと。

毎回のリハがオーディション
チャンスを勝ち取りに来て

なるほど。ではオーディション審査で気になった改善点や、今後に向けてのアドバイスがあれば聞かせてください。

オーディションに受かっても、毎回のリハがオーディションだと思って臨んだ方が良いです。受かってホッとする気持ちはあるだろうし、ステージには立てるんだけど、そこからまた戦いは始まってるんです。リハから振付師の人と密接になるわけだから、そこでどういうものを吸収して一回一回のリハにどう臨むか。後ろよりは前で踊れた方が良いし、ダンスが下手よりは上手い方が良いし、そういった欲求のために努力するものであって、それは決して無駄にならない。リハ中も生徒たちの反骨精神を見ているので、良くなれば立ち位置が後ろから前に変わることもあります。だから一回一回のチャンスを勝ち取りに来て欲しいですね。

リハも戦場でありチャンスの場でもあるわけですね。踊り以外の審査基準って何かありますか?

人間がエンターテインメントを感じる上で重要なのは、五感です。その中で最も感じる部分って視覚と聴覚なんですよ。だから審査で言ったら、音楽とビジュアル、踊りがシンクロするかっていうところなんです。曲に対してイメージをしっかり描けて、それに合わせて振付や自分をカスタマイズして踊るっていうのが重要だと思います。

KENZOさんはDA PUMPとしてだけでなく、ALL GOOD FUNKやSHUFFLE!!といったクルーでアンダーグラウンドでの活動も続けていますが、その環境は自身に良い影響を与えているのでは?

そうですね、重要です。それぞれアプローチが違いますしね。一般の方々に向けたパフォーマンスなのか、ダンスが純粋に好きなコアな層に向けたものなのかっていうところで。それぞれ表現するものは違えど、ダンスが好きっていう愛が共通してあるから、優劣をつけたり天秤にかけるものじゃないって常に思っています。

名刺代わりになるようなDVDを作りたかった

そんなKENZOさんのアプローチのひとつとも言える、ソロ名義でのDVDがリリースされましたね。

ダンサーが未だかつてやったことのないような作品を残したくて、かつ自分の名刺代わりになる作品にしたかったんです。構想は2016年頃からあって、去年2月にNYで一発目の撮影が始まりました。

世界各国の名所で踊っていますが、これはKENZOさんのアイディアですか?

はい。名所ってたくさんあるけど、そこでダンスのイベントってないよな、と思って。それにこれまで色んな国に行って、そこからインスピレーションを受けることが多いので、海外で撮りたいと思ったんです。現地で出会った人たちの優しさに触れた時に、その国が好きになったりするんですよね。このDVDは自分でコンセプトを決めて、絵コンテを描いたり衣装を決めたり、映像の撮り方から振り付けまで全て自分でディレクションしました。

まさに「MY NAME IS KENZO」のタイトル通り、今のKENZOさんを詰め込んだ1本ということですね。

はい。今の自分の感じているものだったり、ダンス人生、テクニック的なものも含め、伝えたい想いをこの作品に込めました。

最後に、プロパフォーマーとしての信念や、受講生へのアドバイスをいただけますか。

どんな人でもスポットライトが当たる瞬間ってあると思うんです。それが大きかったり小さかったり、回数も様々だと思うんですけど、その瞬間に自分が何を表現できるか。そこに夢を掴むチャンスがあります。夢を夢のままでは終わらせないでください。僕が描いてきた夢は、いつもダンスが見せてくれます。

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